本書の原書ともいうべき「中日関係管窺与見証」は1997年に中国で刊行されている。日本語版を刊行するにあたり、1997年以降の発言も追加の上、全体の構成も見直されている。
書名が示すとおり、本書は主に中日両国の関係、そして筆者と日本の各界の人々との交流を記述したものである。これは主に両国の国交が回復した1972年から1997年までのものだが、日本語版には、私が2002年1月に開催された中日民間友好団体責任者会議において行った発言等を追加したため、本書では2002年までのものを記載することとなった。この論集の中には、国交回復前の両国関係に触れた文章もいくつかある。
本書の内容から分かるように、中日関係は国交回復後の30年間、政治、経済、文化、科学技術そして民間交流などのいろいろな面において順調な発展を遂げてきた。しかし、いくつかの面において曲折を経てきたことも事実である。
この30年の日中関係は、主に以下の過程を経てきた。
(1)1972年から81年まで:両国の関係は順調に発展しており、難しいトラブルは発生しなかったといって良い。
(2)1982年から90年代半ばまで:両国の関係は引き続き大きな発展を遂げたが、一方で食い違いや摩擦・トラブルが発生した。
(3)1990年代半ばから:冷戦後の世界情勢と中日両国自身も激しく変化したことにより、両国の友好関係には大きな変化は生じなかったものの、両国間の食い違いや摩擦やトラブルも増加し、中日関係の健全かつ順調な発展の障害となった。
両国間の食い違いや摩擦・トラブルには政治問題も経済問題もあるが、主にその中心は政治問題である。しかし、このような政治問題は年ごとに異なった内容をもつもので、その根本的性格を分類すれば、主に二つの問題がある。即ち、歴史に対する認識と台湾問題であるが、その原因を究明すると、主に日本のある政治家・官僚や右翼たちが「中日共同声明」と「中日平和友好条約」の原則によって、この二つの問題を処理しないことにある。
本書中の文章は、両国間で生じた問題を善処し、友好協力関係をさらに引き続き発展させるため、これまでの実践をもとに、幾つかの重要な経験と教訓を述べたものである。この中には10年前、それ以前のものもあるが、今日の世界と日本の情勢はその時となんらかの違いはあるものの、よく考えてみると、これらの基本的な経験と教訓は時代遅れではなく、現実的な意義が有るといえよう。たとえば、両国民間の友好交流と民間外交をもっとしっかりしなければならない点についていえば、そのとき両国の国交を回復するため、最初は「民間往来」がその中心となり、その後は、「官民」つまり「政府と民間の二本立て」という形式が全体の流れとなったのである。そして民間の友好交流は、中日両国人民の友好交流を発展させてきた。その交流は、両国間にわだかまる不穏当な感情をなくし、両国の友好関係が損なわれることも抑止するという独特な役割を果たし続けてきたのである。
私は、両国の国民の真なる努力によって、両国の歴史の中でかつて経験したことがない新しい時代が到来しても、中日両国がともに発展を続け、さらなる友好の新しい一ページが開かれていくものと確信する。(日本語版の刊行にあたってより抜粋)
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日本語版の刊行にあたって
序 章 中日国交正常化への道
一、中日国交正常化以前の情勢
二、1950年代以降における対日政策の決定
三、中日国交正常化の国際的背景
四、田中首相訪中の道を開く
第一章 中日国交正常化
一、中日国交正常化前後――「共同声明」調印によって開かれた新しい友好の歴史――
二、中日国交正常化10周年にあたって――中日両国は一衣帯水の隣邦であり、友好関係の後退はあり得ない――
三、中日国交正常化15周年で培われたもの――「声明」と「条約」を厳格に守り、両国の世々代々にわたる友好を実現しよう――
四、中日国交正常化後20周年で確認するべき課題――国交回復後の中日関係における発展の経験と教訓――
五、中日国交正常化後25周年の回顧と展望――新世紀への中日関係――
第二章 中日平和友好条約
一、「中日平和友好条約」の正式発効を祝う
二、条約締結10周年=相互理解を深め中日友好を発展させよう
三、条約締結20周年=祝賀と期待
第三章 戦後の中日関係と対日政策
一、新中国成立初期における党中央が策定した対日政策と活動方針
二、日本に対する戦争賠償請求権の放棄に関する経過
三、日本人民の闘争と日本共産党
四、中日両国の友好協力関係を引き続き推し進めよう
五、中日の相互理解のために直言する――「中日関係面面観」によせて
六、歴史を鏡に将来に目を向けよう――抗日戦争勝利50周年を記念して
第四章 両国指導者と中日関係
一、周恩来と中日国交正常化
二、ケ(トウ)小平と「中日平和友好条約」
三、中日国交正常化の総仕上げと華国鋒訪日
四、胡耀邦の訪日とその成果
随想録 胡耀邦の訪日に随行して
第五章 中日友好21世紀委員会における基調報告
一、中日友好21世紀委員会第5回会議において
二、中日友好21世紀委員会第6回会議において
三、中日友好21世紀委員会第7回会議において
四、中日友好21世紀委員会第8回会議において
五、中日友好21世紀委員会第9回会議において
六、中日友好21世紀委員会第10回会議において
第六章 集会における講話
一、21世紀の中日関係を展望する――北九州における講演――
二、中国の対外政策に関するいくつかの問題に答える――日中倶楽部における講演――
三、周恩来先生逝去10周年記念集会において
四、日中友協代表団指導者への講話
五、中国における日本学の構築について――中華日本学会成立大会において――
六、日本人反戦同盟記念碑開幕式において
結章 中日国交正常化30周年を記念して
一、中日民間団体責任者会議での挨拶
二、中日国交正常化30周年にあたって――中日関係を巡るいくつかの質問に答える――
あとがき
訳者あとがき
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中国巨龍(週刊チャイニーズドラゴン:2002/10/22付)新刊案内
日中国交正常化に関連して、数多くのイベントが日々行われている昨今、正常化へのプロセスを取り上げた著作も出版されている。本書はそれらの中でも、新中国成立以前より天津中日学院で学び、1934年に、東京高等師範(現筑波大学)で学んだ日本通、張香山氏(中国国際交流協会顧問、中日友好協会顧問)が長年にわたり携わってきた日中関係の最前線が、中国側の立場で解き明かされている点で特筆できる一冊だ。
長年日本に関ってきた張氏が「人民日報」などの活字媒体、中央人民放送局などのメディア、そして、日本での講演会や新聞インタビューなどを通じて発言してきた資料の総括ともなっているため、内容の重複が見られ、数字や見解も当時のものであるが、一貫した日中友好の立場は変わらず、1970〜90年代にまたがる背景の政局などの国内情勢を考えながら読むと感慨深い。また故周恩来首相をはじめとする中国側が、交渉時にどのような様子であったか、どのような思惑であったのか、あるいは日本側代表が中国側には、どのように映っていたのか、そして台湾を巡る両国の立場や、中国を取り巻いていた国際環境などの記述は現在の現象にも通じ、非常に興味をそそるものがある。さらに、既出の原稿類だけでなく、高齢にもかかわらず、張氏自身が病後でありながら、新たな前書きと後書きを加筆、書面によるインタビューにも自ら筆を執ったという渾身の一冊。しかし資料としての重要性・充実性からすると、残念なことに、年代の明らかな誤謬や誤植などが散見される。原書に起因するものなのか、日本版を訳出する段階で発生したものなのか。惜しい。(正誤表を添付しています)
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東商新聞(2003/1/25付)書籍案内
日中国交正常化30周年記念出版。著者の張香山氏は若き日を中国の日本に対する政策や考え方について述べている。
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東商新聞(2003/1/25付)書籍案内
日中国係、中国の日本に対する政策や考え方について述べている。
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東商新聞(2003/1/25付)書籍案内
日中国交正常化30周年記念出版。著者の張香山氏は若き日を日本への遊学で過ごした日本通で、日中国交正常化交渉では中国外交部顧問として直接交渉のテーブルについた。本書では日中国交正常化前後から現在までの中日両田の関係、中国の日本に対する政策や考え方について述べている。
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日中文化交流(2003年1月号)書籍案内
著者は、中国の対日政策を決定する上で大きな役割を果たし、国交正常化の時には中国外交部顧問として直接交渉に参加した日中友好の貴重な証人の一人。本書は、日中間に発生したさまざまな問題について言及した論文や講演を集大成している。両国関係の過去を知り、未来を考える上で必読の書である。毛主席が日本の訪中団に「相互の文化交流を通して正常な国交関係を打ちたてるよう努力しよう」と語った文化交流重視の発言など、興味深い話が多いのも本書の魅力である。
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